八月の光

裸足の僕を呼び止める

やさしい声が遠くなる


夕日の猫は嘔吐きだす

きいろい景色が重すぎる


八月は夢のなか


俺はまだ

眠りを知らないで呼んでいる


赤い戦車が行き違う

真夏の猫は砂になる


ここじゃすこしまぶしすぎる

かなしい声で身を捩る


いびつな静けさ


きみはまだ

祈りを捨てないでいで


逆上がりの渡り鳥

音のない空に打鳴らすように


裸足の僕を呼び止める

やさしい声が遠くなる


夕日の猫は嘔吐きだす

きいろい景色に溶け込んだ僕は

焦げ付いてしまったんだ


もう帰る時間だよ


裸足の僕を呼び止める

やさしい声が遠くなる


夕日の猫は燃え上がる

赤いチャイムが鳴り響く


八月は夢のなか

俺はまだ眠りを知らないままで


もう帰る時間だよ


もう帰る時間だよ


さよなら 

さよなら

呼んでいる

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